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未来人スペシャル 平井卓也さん  

“ 目的は人の幸せ誰も取り残さないデジタル社会へ ”

これからのまちづくりに尽力する「未来人」との対談を通して、住みやすい理想のまちを考える企画。 今回は特別に、デジタル改革担当大臣に就任した平井卓也さんの単独インタビューをお届け。

 

 

 

これからのまちづくりに尽力する「未来人」との対談を通して、住みやすい理想の街を考える。

NT  デジタル庁創設の意義とデジタル改革担当大臣に着任した今の気持ちは。
大臣  デジタル庁は規制改革のシンボルで成長戦略の柱にしたい。新型コロナウイルスの影響で当たり前が当たり前でなくなった。人が集まれなくなり、経済は2008年のリーマンショック以上に落ち込んだ。この危機に、日本のデジタル化は役に立たなかった。その反省から、私は大臣になる前から「デジタル敗戦」という言葉を使ってきた。まさか立て直しを自分がやることになろうとは。デジタルテクノロジーが、国民を幸せにし、国家を発展させることができるか。大げさに言うと、私の手腕に日本の未来が懸かっている。「大役を引き受けてしまった」が率直な気持ちだ。

 

NT  日本の救世主になれるか。

大臣  冗談ではなくそれほどに重要な立場。絶対に成功させなければならない。デジタル庁の説明で難しいのは、「デジタル」という言葉を日本語で表現できないこと。受け止め方は人によって違う。台湾のIT担当大臣のオードリー・タンさんは、「ITは機械と機械をつなぐが、デジタルは人と人をつなぐ」と言った。これは重要な指摘で、デジタルはいろいろなものをつなぐ強い力を宿し、距離や時間の概念を変える。日本では「誰も取り残さないデジタル社会」を作りたい。どこからでも参画が可能な社会は、高齢者、障がい者、生活困窮者など多様な人を包摂する。中国や米国は経済成長一点張りのデジタル化をやっている。そうすると、社会から置き去りにされる人が増え、格差は広がる。日本ではみんながデジタルの恩恵を受けられるようにしたい。恩恵とは、デジタル機器の普及ではなく、便利で安全な社会だ。これまで、届出を提出するためだけに役所に出向いていた時間をなくせば、他のことに時間が使える。芸術活動、経済活動、人助け、なんでもいい。この時間が日本社会の成長につながっていくだろう。

▲サンポート高松にOPENした、オープンイノベーション拠点 『Setouchi-i-Base』のオープニングセレモニーに参加。

 

▽ 優しい社会に

NT  便利で安全な社会は、国民の幸せな暮らしにとって重要。一方、デジタルと幸せの関係性は認識しづらい面もある。

大臣  人間にとって、安全な場所で暮らせるかは死活問題。幸せの定義は人によって違うので、一人ひとりが複数の選択肢を持てることが大事。例えば居住地は、都市でも山に囲まれた田舎でも無人島でも構わない。自分が求めるライフスタイルの中で社会参画が可能になることが、新たなデジタルワーキングスタイルだ。今のテレワークは会社の仕事を家でやっているだけ。これからは兼業が普及し、複数の会社で能力を発揮する人が増えるだろう。働き方をより多様な選択肢から選べるようになる。日本が「デジタルを意識せずともデジタルの恩恵を受けられる社会」になることが大事だ。高齢者や障がい者にとって優しい社会を構築するためにテクノロジーを目一杯使う。Society5.0では便利さや効率性の話ばかりをした。コロナ禍は、人間の根源的な欲求はアナログ空間での生活にあると教えてくれた。アナログ空間をより快適で安全に。人間が人間らしく生きるためのデジタルだ。

 

▽ 全てが最初から

NT  デジタル分野にはどのような課題があるのか。

大臣  国はシステムの運営に毎年7000億円ものコストを負担しており、うち4000億円は維持管理費だ。これは、各省庁が独自のシステムを特定のシステム提供企業と作り上げたことに起因する。例えば、法律改正などによるシステム改修費がかさむ設計になっている。この7000億円の予算を全てデジタル庁に集約する。また、地方自治体のシステムの基盤は国が作る。アプリケーションは地域に合うものを自由に作ってもらい、地方自治体の政策の自由度を担保する。他方、セキュリティーやシステム更新などは全体で効率的に管理する。これらがデジタル庁の一丁目一番地の仕事となる。権限と予算を各省庁から吸い上げることになるので、当然反発もある。それでもやり切ることが私の役割だ。

 

NT  いつからデジタルに興味を持ったのか。

大臣  当選してすぐだから約20年前からになる。2001年にIT基本法が施行され、e-Japan重点計画特命委員会(委員長は麻生太郎氏)への参加がきっかけ。デジタルが政策トピックスで1番に取り上げられたのは初めて。これまでは5番目6番目の扱いだったため、上手くいかなくても国民は政府を責めなかった。費用対効果が悪い状況を抜本的に変えていく。

NT    デジタル改革関連法案準備室の室長も務める。

大臣  デジタル庁の設計図は存在せず、全てがフロムスクラッチ(最初から)。デジタル改革アイデアボックスが活況で、オープンな対話を繰り返している。これまでの役所は、役人が考えたものを国民に提示する構図だった。デジタル庁は多様な意見を取り入れ、徹底的に国民目線で作る。行政システムの使い勝手が悪いのは、行政側が管理しやすく間違いが起きないことを最優先にシステムを構築してきたから。利用者がストレスを感じない真にユーザーフレンドリーなUI(ユーザーインターフェイス/利用者との接点)やUX(ユーザーエクスペリエンス/ユーザー体験)にしていく。近未来に実現する社会では、どこにいてもスマートフォンがあれば24時間365日行政手続きが可能になる。

 

▲デジタル改革関連法案準備室でのミーティングの様子。

 

▽ 持ちたいカードへ

NT  マイナンバーカードの普及について。

大臣  デジタル社会では自分が自分であることを証明する必要がある。国が証明する最高位の身分証明書がマイナンバーカードだ。カードのおもて面には顔写真と基本4情報(氏名・住所・生年月日・性別)、裏面にはマイナンバーが記載されているが、最も重要なことはICチップ内に電子的に個人を認証する機能が搭載されていること。つまりカードは個人を証明する鍵のキーホルダーのようなもの。2021年3月からは健康保険証として利用できるようになる。病院の窓口に置くカードリーダーにかざすだけで直ちに資格確認ができ、マイナポータルで薬剤情報や医療費を見られる。2026年からは運転免許証としても使えるようになる。国家資格証の一体化も検討している。同時に、カードの安全性への正しい理解を求めていく。カード裏面の12桁のマイナンバーは「特定」個人情報と呼ばれる。この「特定」は、税と社会保障と災害対策でしか使えないという意味。「特定」の意味を勘違いし、カード取得をためらう人もいる。安全管理は特定個人情報も個人情報もほぼ同じ。情報の伝え方で失敗している。カードの券面のデザインからやり直そうと思う。皆さんが持ちたくなるカードにしたい。香川県は残念ながら普及が進んでいない。未取得の方には、以前お配りした通知カードに似たもの(QRコード付き)を年内に送る。スマートフォンから申し込めば楽に取得できる。マイナンバーカードは、デジタル時代のパスポート。これから急速に普及していくと思う。

▲河野行政改革担当大臣、赤羽国土交通大臣と打ち合わせ。

 

▽ 意識に変革を

NT  デジタル社会における香川県のポテンシャルは。

大臣  ヒト・モノ・カネ・情報が格差を作ってきた。現在、情報の格差がほぼなくなり、ネットにさえつながれば瞬時に情報が手に入る。すると、安全で幸せに暮らせる場所がより一層求められるようになる。香川県は、温暖で災害が少なく、居住圏がコンパクトだし東京へのアクセスも良い。デジタル社会において魅力的な土地。「デジタル庁を誘致する」と耳にすることがあるが、デジタル庁は場所を選ばない。人のネットワークさえあれば、庁舎はいらない。東京に管理部門は置くにしても、他は日本中に分散して良い。今後、多くの企業がそうなっていく可能性がある。その受け皿に香川県がなるべき。デジタルを政策の柱に据え、「新しいデジタルワーキングスタイルを実現できる県」になれば、人材の宝庫になる。

 

NT   最後に意気込みを。

大臣  いかに国民にとって良いサービスを提供できるか。Government as a Serviceから着想したGaaS(ガースー/Government as a Startup)。準備室を新しいスタートアップだとすると、年内に人を集めながら基本方針を決め、来年中には一部上場せよという任務。デジタル庁の創設により国民の意識に変革をもたらすことができるか。誰かがやらないといけない。

▲あらゆる世代が恩恵を受けられるデジタル社会を目指す。子どもたちの未来が明るいものになるように。

 

ナイスタウン編集部が聞く!平井大臣ってどんな人?

 

Q.好きな食べ物は何?

A.カップ焼きそば マイブームでいつも一味を 持ち歩いています。 (何にでもかけて食べるくらい 辛いものが好きなのだとか)

 

Q.忙しい日々のリフレッシュ方法は?

A.愛犬と愛猫の世話が 癒しの時間。 ごはんをあげる時が 至福の時です。

 

 

 

Q.趣味は?

A.ギター、ゴルフ、 ウォーキング etc (今は日々忙しいため、 ゴルフには行けていないそう)

 

Q.いつも身につけているものは?

A.Apple Watch

 

Q.仕事ができる人ってどういう人?

A.大きなビジョンを描いて、迷いなく努力できる人

 

Q.仕事への原動力は?

A.チャレンジ精神と使命感 今回の仕事はやりがいがあります。

 

Q.もし政治家をしていなかったら何をしていた?

A.スタートアップ経営者またはミュージシャン

 

これからの未来を創る若者にひと言お願いします!

失敗を恐れず、 何事にもチャレンジしよう!