本特集では、子どもの頃から始める小児矯正の重要性とその理由についてお伺いしました。
医療法人社団 小西歯科医院 歯科医師 小西 弘晃(こにし ひろあき) 先生
<経歴>
1997年神奈川歯科大学歯学部卒業。2002年金沢医科大学、 2004年神奈川歯科大学などを経て、2010年から小西歯科医院勤務。
<資格・学位>
日本口腔外科学会認定医、日本矯正歯科学会認定医、歯学博士、インビザラインプラチナドクター(2022~2023)、インビザラインプラチナエリートドクター(2023~2024)
Q.子どもの矯正治療は、どのタイミングで始めるのが適切でしょうか?
A.早いお子さんですと乳児期から(生後6ヶ月)、遅くとも5〜6歳から予防矯正を始めるのが適切でしょう。早い時期に歯科医院に相談をして、管理を行い、ベストなタイミングから介入するのが良いと考えております。
当医院では、唇と⾆の機能が歯並びに大きく影響を与えるため、生後⻭が⽣える前にお⼝の育成管理を始めることが大切だと考えています。唇や⾆の動きが発達しないと、お⼝ポカン(⼝呼吸)や哺乳障害が⽣じて出っ歯や受け口、ひいては顎の成長を妨げる原因となります。⻭並びが悪くなる前に、予防する取り組み『予防矯正』を始めると良いでしょう。
これまで、あまり⻭科医師が関わってこなかった乳児の唇と舌が成長する0歳~1歳に、積極的に関わり、口内の機能をチェックする必要があります。2024年6月に保険の改正があり、口腔機能発達不全症が保険適用になりました。口腔機能発達不全症とは、「食べる」「話す」「呼吸する」の各機能が十分に発達していない、つまり、正常な機能を獲得していない状態を指す疾患です。発達不全を早期に発見し、良いタイミングで修正できれば、その後は発達の正常化が期待できます。そのため当医院では、少しでも早い時期からアプローチしてあげるのが望ましいと考えています。
Q.貴医院の矯正治療の方針や特徴について教えてください。
A.歯並びが悪くなる前の「予防矯正」に力を入れています。予防矯正とは、歯が生える前の0歳児からアプローチして唇と⾆の正常発達を導き、⻭並び、噛み合わせが悪くなるのを未然に防ぐという考えです。乳児期からの食習慣の改善や口呼吸、正しい舌の位置を⾷事を通して学ぶことが、良い⻭ならびの獲得、ひいては将来的な歯の健康寿命を延ばすことに繫がります。
Q.アライナー型矯正歯科装置「インビザラインファースト」の特徴とメリットについて教えてください。
A.当医院では、全てのお子さんの矯正治療にアライナー型・子ども用の矯正装置「インビザラインファースト」を導入しています。混合歯列期(永久歯が生え始めて生え揃うまで)が対象です(※個人差あり)。導入した理由は、ワイヤーが刺さる可能性のある従来の矯正方法とは異なり、「緊急受診の必要が起きない安全な矯正治療装置」だからです。目立たず、自分で取り外せますので、食事や歯みがきは、通常通り行う事ができる点が知られていますが安全という点も強調したいと思います。
Q.治療後のフォローアップやメンテナンスについて、どのようなサポートが受けられますか?
A.矯正治療に限らず、歯科に関しては、一生涯のメンテナンスが必要だと考えております。当医院は、矯正治療専門医院ではありません。だからこそ、矯正治療中や治療後のむし⻭や⻭⾁炎の予防・治療や⼊れ⻭・インプラント治療も含め、総合的に歯とお口の健康を生涯フォローさせていただくことができる点が強みです。歯並びの良さは、顔の印象が変わるだけでなく、歯の健康ひいては正しい食事方法などを通じた体の健康につながるので、歯並びが悪い、噛み合わせが悪いことを放置せず治療する、さらに、悪くなことを予防することを推奨しています。