【香川】香川の偉人!弘法大師空海御誕生1250年
「お遍路」や「四国八十八ヶ所巡り」という言葉をご存知ですか?古来、四国は国の中央から離れた地であり、様々な修行の場であったといわれています。
真言宗の宗祖・弘法大師空海ゆかりの霊場(四国にある88ヶ寺)をたどる巡礼のことを「お遍路」や「四国八十八ヶ所巡り」と言い、その信仰は現代にも受け継がれています。また、近年では外国からもお遍路を体験するために訪れる方も多く、年間数十万人もの人が四国・香川を訪れます。
▲『総本山善通寺』を案内してくれた住職の中嶋さん。後ろにある建物は「御影堂(みえどう)」といって、奥殿の厨子内には秘仏「瞬目大師像(めひきだいしぞう)」が祀られている。
四国八十八ヶ所霊場を開創した弘法大師空海は、御父・佐伯善通(さえきよしみち)と御母・玉寄御前(たまよりごぜん)の子として、宝亀5年(774年)、讃岐「屏風ヶ浦」(現、香川県西部にある善通寺市)で御誕生されました。善通寺市内にある『総本山善通寺』の西院(誕生院)は、御父・佐伯善通の邸宅地跡で、御影堂の奥殿が建つ場所は御母・玉寄御前の部屋があった場所と伝わっており、弘法大師空海御誕生の地として大切にされています。
▲「御影池(みかげのいけ)」にある1番大きな像は修行中のお大師さま、手前中央は弥勒菩薩坐像、左右にお大師さまのご両親が並ぶ。
▲「御影堂(みえどう)」のそばに祀られているのは、お大師さまが幼名「真魚(まお)」と呼ばれていた頃をあらわした稚児大師像。
2023年は弘法大師空海御誕生1250年という節目の年。そこで、2023年4月23日から6月15日までの期間、「弘法大師空海御誕生1250年祭」と題して、『総本山善通寺』をはじめ御誕生の地・善通寺市内では様々な記念事業が行われます。また、御朱印帳や記念バッジ、Tシャツなどの記念グッズも多数登場しています。
▲地元・善通寺市内の高校生がデザインしたロゴマークを使用した記念バッジ。
▲御朱印帳やTシャツなど、弘法大師空海御誕生1250年記念グッズが登場。
【香川】まずは体験!”お砂踏み”で四国八十八ヶ所を巡礼
お砂踏み(おすなふみ)とは、四国八十八ヶ所霊場の「お砂」をそれぞれ集め、その「お砂」を札所と考えて、「お砂」を踏みながらお参りすることです。そのご利益は、実際にお遍路をしたことと同じであるといわれており、江戸時代には、四国八十八ヶ所各札所の御本尊と「お砂」を安置するうつし霊場やお砂踏み道場が日本全国に数多く造られました。
『総本山善通寺』の西院にある「遍照閣(へんじょうかく)」には「お砂踏み道場」があり、第1番札所から第88番札所まで、四国八十八ヶ所霊場の御本尊の写し仏が祀られています。
▲昭和59年(1984)の弘法大師1150年御遠忌の事業の一環として建立。展示会や講演会などにも利用されている。
▲遍照閣のエントランス正面には釈迦如来坐像と十大弟子立像が祀られている。
▲遍照閣の奥に常設されている「四国八十八ヶ所お砂踏み道場」。入場自由。
▲第1番札所から第88番札所まで、四国八十八ヶ所霊場の御本尊の写し仏が祀られている。
足元にある赤いカーペットの下には各札所の「お砂」が敷かれているので、この上を踏みながら順番にお参りします。音のない空間は神聖な空気が漂い、1ヶ寺ずつお参りすると煩悩が消え、心が落ち着きます。お遍路の”きっかけ”として、ぜひ体験してみてください。
▲各寺院の境内からいただいた砂が敷かれている赤色のカーペットの上に立ちお参り。
【香川】境内の見どころをナビゲート!(東院)
『総本山善通寺』は総面積約45000平方メートルに及び、広大な境内は”伽藍”と称される「東院」と”誕生院”と称される「西院」の東西二院に分かれています。
「東院」は創建時以来の寺域で、善通寺の本堂である「金堂」や善通寺市内のランドマークでもある「五重塔」などが建ち並びます。「金堂」の南側にある大楠は樹齢千数百年と伝えられており、県の天然記念物にも指定されています。
▲【南大門】東院(伽藍)の南に位置する善通寺の正門。正面上方には善通寺の山号である「五岳山」の扁額が掲げられている。
▲【五重塔】総高43メートル。国内の木造塔として3番目の高さを誇る。
▲【金堂】東院(伽藍)の中央に位置する善通寺の本堂。中央須弥壇上に座すのが、善通寺の本尊「薬師如来坐像」。
▲【大楠】「金堂」の南側にある大楠は樹齢千数百年と伝えられ、善通寺の創建当時を偲ばせる大木。香川県の天然記念物に指定されている。
▲【五百羅漢像】東院の四方を囲むように祀られている五百羅漢像。それぞれ独自の面相を持っており、ずらりと並んだ様は壮観。
「弘法大師空海御誕生1250年祭」では、国指定重要文化財「五重塔」の特別公開が行われます!今回公開されるのは初層と二層で、初層には密教思想の中心的存在である五智如来(五仏)が安置されており、阿閦(あしゅく)、宝生(ほうしょう)、阿弥陀如来、不空成就(ふくうじょうじゅ)の4体の如来像を目にすることができます。また、善通寺五重塔の特徴である、心柱が五層目の屋根から吊られ、地上からわずかに浮く特殊な構造にも注目です!
<EVENT>
国重要文化財 五重塔特別公開【初層・第二層】
公開期間
【2023年4月】29日・30日
【2023年5月】1~7日・13日・14日・20日・21日・27日・28日
【2023年6月】3日・4日・10日・11日・14日・15日
公開時間:9:00~16:00
拝観料:一般300円、高校生以下100円(小学生未満無料)
【香川】境内の見どころをナビゲート!(西院)
「西院」は弘法大師空海が御誕生された佐伯家の邸宅地跡であり、弘法大師御誕生所としての由縁を今に伝える場所です。「西院」の中心である「御影堂」の”御影”とは、弘法大師空海のお姿を指し、奥殿の厨子内には秘仏「瞬目大師像(めひきだいしぞう)」が祀られています。
▲【御影堂】お大師さまが生まれた佐伯家の邸宅地跡に建てられた寺院。お大師さま誕生の地であることから、御影堂のある西院は御誕生院とも呼ばれる。
また、地下には約100メートルの通路を巡る「戒壇めぐり」あります。地下への階段を降り、真っ暗な中を進み自己を見つめなおす精神修養の道場です。中心は、弘法大師空海の御母・玉寄御前の部屋があったとされる場所で、その中央には大日如来像が安置されており、お大師さまと縁を結ぶことができます。
▲【戒壇めぐり】「御影堂」の地下には約100メートルの通路を巡る「戒壇めぐり」がある。
▲地下への階段を降り、真っ暗な中を進み自己を見つめなおす精神修養の道場。
▲【仁王門】西院と東院の間にある仁王門にある五色幕。これは五智如来の五色(緑・黄・赤・白・紫)を表している。門の上方にはお大師さまの灌頂名「遍照金剛閣」が刻まれている。
「西院」では、50年ごとの御誕生あるいは御遠忌などの記念行事のみで御開帳される「瞬目大師像」が、御誕生1250年を記念して特別に御開帳します。会期中利用できる共通券を用いると、「戒壇めぐり」と宝物館で開催される「チベット密教展」の観覧が楽しめるので、お見逃しなく!
<EVENT>
御影堂秘仏本尊・瞬目大師像 特別御開帳
戒壇めぐり/宝物館「チベット密教展」
公開期間:2023年4月23日~6月15日
公開時間:9:00~17:00(最終受付16:30)
拝観料 :大学生以上2,000円
四国霊場第75番札所 総本山善通寺
香川県善通寺市善通寺町3-3-1
TEL:0877-62-0111(代)
受付時間:7:00~17:00(年中無休)
【香川】豊かな自然と”お接待”に癒される「お遍路」
▲お遍路の服装。菅笠(すげがさ)、白衣(びゃくえ)、金剛杖(こんごうづえ)は基本の3点セット!
「お遍路」をする人のことを”お遍路さん”と言います。人々がお遍路をする目的は、先祖供養、自分探し、自然との触れ合いなど、さまざまです。お大師さまの軌跡を感じながら四国八十八ヶ所霊場を巡る旅は、社会にいることが非日常で自然の中にいることが当たり前だと感じるようになり、自己の考えを切り替えることができます。
▲お遍路に必要な着衣や道具は四国八十八ヶ所霊場の寺院で購入することができる(一部を除く)。
また、四国には”お接待”という文化があり、お遍路さんにお菓子や飲み物などを無償で施すことを”お接待”と言います。今となってはバスや車で気軽にお遍路ができるようになりましたが、かつてお遍路といえば歩きの旅で修行のように厳しいものでした。過酷な旅をするお遍路さんを応援する気持ちを込めて”お接待”をする文化は今なお続いており、そうした地域住民とのふれあいは、お遍路でしか体感できない魅力です。
四国八十八ヶ所霊場は「札所(ふだしょ)」とも呼ばれ、参拝のしるしとして札を受け取ったり納めたりすることからその名が付いています。そしてその札は、霊場を何周したかによって色が変わります。「お遍路」は1周にして終わらず何周も巡る、日本全国でも類を見ない巡礼文化であるといえます。四国の豊かな自然を体感しながら、ぜひ「お遍路」の旅へ出かけてみてください。
▲「88大師カード」をすべて集めて、パネルに額装することができる「結願セット」。
(お遍路に関するお問い合わせ)
(一社)四国八十八ヶ所霊場会事務所
香川県善通寺市善通寺町1065-1
(総本山善通寺駐車場内の売店横)
TEL:0877-56-5688
受付時間:9:00~17:00頃
定休日:日曜、大晦日、1月1日~3日
※臨時休業の場合あり
【香川】弘法大師空海生誕1250年記念特別展「空海―史上最強、讃岐に舞い降りた不滅の巨人」
高松市内にある『香川県立ミュージアム』では、弘法大師空海生誕1250年記念特別展が開催されます。本展では、空海の真筆といった弘法大師空海その人のぬくもりを伝える名宝をはじめ、弘法大師信仰の広まりの中で創出され継承されてきた御影や伝記、物語絵など、国宝10件、重要文化財15件、地方指定文化財7件を含む全60作品が紹介されます!
<前期>と<後期>の2回に分かれ、展示作品の一部が替わるので、ぜひどちらの会期にも来館して、弘法大師空海の壮大な事績と今も地域に守り伝えられる文化財を鑑賞してみて。
▲(写真左)弘法大師坐像 威徳院蔵、(写真右)国宝 金銅錫杖頭 善通寺蔵 後期展示(2023年5月9日~5月21日)。空海生誕の地、総本山善通寺の至高の御宝物、党から持ち帰ったと伝わる密教法具。
▲国宝 三十帖冊子 仁和寺蔵 場面替えあり。経典類を書き写した空海の小さなノート。唐の写経生などの筆と空海自身の筆が混ざる。
▲国宝 金剛般若経開題残巻(六十三行)京都国立博物館蔵 前期展示(2023年4月22日~5月7日)
<展覧会>
空海―史上最強、讃岐に舞い降りた不滅の巨人
会期:<前期>4月22日~5月7日 <後期>5月9日~5月21日
※月曜休館(ただし、5月1日は開館)
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般1,200円(1,000円)※( )内は前売または20名以上の団体料金
香川県立ミュージアム
香川県高松市玉藻町5-5
TEL:087-822-0002
受付時間:9:00~17:00
(休館日の月曜を除く)
【香川】9年ぶりの特別公開「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」
古くから海の神様として全国から信仰を集め、「こんぴらさん」の呼び名で親しまれている金刀比羅宮。「こんぴらさん」といえば、御本宮まで続く長い石段を連想される方も多いと思いますが、表書院・奥書院には、江戸時代に活躍した絵師たちにより描かれた障壁画を見ることができます。そして今回、百花図の修復作業が完了したことを記念して通常は非公開となっている奥書院が9年ぶりに一般公開されます。
奥書院では、江戸時代に活躍した天才絵師 伊藤若冲の「百花図」や東洋文化研究家のアレックス・カー氏も絶賛する岸岱の「柳に白鷺の図」などといった部屋ごとに趣向を凝らした障壁画をご覧いただけます。この機会に貴重な美術品鑑賞とともにぜひ「こんぴらまいり」を楽しんでみてはいかが。
▲伊藤若冲「百花図」
▲円山応挙「瀑布及山水図」
▲岸岱「柳に白鷺の図」
<展覧会>
お待たせ!こんぴらさんの若冲展
会期:2023年4月8日~6月11日
休館日:2023年4月19日、26日、5月9日、24日
時間:9:00~16:00(1時間ごとの入替制)
料金
一般・大学生2,000円、高校生・中学生1,000円、小学生以下無料(大人の保護者同伴必須)
金刀比羅宮
香川県仲多度郡琴平町892-1
TEL:0877-75-2121
問合せ時間:9:00~17:00
HPはこちら>>
【石川】「白山比咩神社」から始まる白山麓の聖地巡礼
続いては、石川県白山市にある「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」をご紹介します。
霊峰白山を神体山とする古代からの霊山信仰の聖地であり、全国に3千余社もある白山神社の総本宮で、地元だけでなく全国から多くの参拝者が訪れます。
▲地元では「白山さん(しらやまさん)」と呼び親しまれ、多くの参拝者が訪れる。
なかでも、毎月1日の「お朔(おついたち)参り」には多くの人が訪れます。正月の元旦や毎月の1日に参拝し、無事に過ごせた1ヶ月への感謝と、新しい月の無病息災・家内安全・商売繁盛などを祈念するもので、全国の神社やお寺でも行われていますが、特に白山比咩神社は熱心な参拝者が多いのが特徴です。
「白山比咩神社」のご祭神は、白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)=菊理媛尊(くくりひめのみこと)と伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の三柱。白山比咩大神(菊理媛尊)は『日本書紀』にも登場する女神で、日本の国土を誕生させた伊弉諾尊・伊弉冉尊の仲を取り持った神話から、縁結びの神、ご縁をくくる神とされています。
▲白山比咩大神の御神体は白山(はくさん)。一つの山ではなく、御前峰(ごぜんがみね)、 大汝峰(おおなんじみね)、別山(べっさん)の白山三山を中心とした周辺の山々の総称で、 最高峰の御前峰(標高2702m)の山頂に白山比咩神社の「奥宮」がある。
▲奥宮まで行くのは非常に大変なので、麓の白山比咩神社から遥拝するのが一般的。
▲参道の階段を囲む樹々の深いグリーン、沿道を流れる小川のせせらぎや滝の音も聞こえてきて、凛とした清浄な空気に身心が清められる。
▲境内には樹齢1000年ともいわれる樹々がそびえ、悠久の時を感じさせてくれる。
白山比咩神社
石川県白山市三宮町 二105-1
TEL:076-272-0680
問合せ時間:9:00~16:00(社務所)
年中無休
【石川】霊峰白山の頂を目指す禅定道
▲白山は古くから聖地として仰がれ、山麓や平野部に暮らす人々にとって生活に不可欠な命の水を供給してくれる存在。
白山比咩神社の創建は、2000年以上前の崇神天皇の頃と伝えられていますが、白山への登頂が始まったのは、越前国(福井県)の僧・泰澄(たいちょう)が女神のお告げを受けて、養老元年(717年)に白山を開山してからのこと。今でも泰澄大師の伝承は、北陸のあちこちに残っています。
白山は日本三名山の一つに数えられ、登山者に大人気の山ですが、その登山ルートの元になったのが泰澄の開山後、山岳信仰の高まりから修験の霊場として登拝する修行僧が増えて発展した修験の登山道「禅定道(ぜんじょうどう)」です。
白山登拝の禅定道は、加賀(石川)・越前(福井)・美濃(岐阜)の三方向から整備され、起点に位置する加賀の白山比咩神社、越前の平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)、美濃の長滝白山神社(ながたきはくさんじんじゃ)は、三馬場(さんばば/さんばんば)と呼ばれています。
▲奥宮登拝の拠点となる、標高2450mの室堂にある白山比咩神社の奥宮祈祷殿・参籠殿。
白山への登山口はいくつもありますが、もっともポピュラーなのが石川県白山市白峰の「別当出合(べっとうであい)」からのコースです。別当出合から室堂までは約6km、約4~5時間(休憩含まず)が目安。室堂から白山比咩神社の「白山奥宮」がある御前峰の山頂までは約1時間です。
健脚なら日帰り登山も可能ですが、山小屋で泊まる1泊2日のプランで、禅定道の歴史ロマンに想いを馳せながら白山登山にチャレンジしてみてはいかが!? 高山でしか見られない貴重な動物や高山植物などとの出会い、降り注ぐような満天の星空、山頂で見るご来光なども体験できます。
白山観光協会
TEL:076-273-1001
(白山室堂予約センター)
受付時間:9:00~17:00(年末年始は休み)
白山の登山情報サイト「白山BEST GUIDE」はこちら>>