回答:院長 宇野 敏彦先生
Q.白内障とは、どのような病気ですか?
目の中には、ピントを調整するカメラのレンズのような役割を果たす水晶体があります。その水晶体が年齢とともに白く濁り、視力が低下する病気を白内障といいます。早い人であれば40代から発症し、80代ではほとんどの人になんらかの症状が見られるようになります。
初期症状は「ものが二重に見える」「以前よりまぶしく感じる」「目がかすむ」などの症状が現れ、見え方の異常として現れるのが特徴です。進行すれば眼鏡をかけていても、運転や近くの動作で見えにくさを感じる場合があります。そこで、なぜ見えにくいのかという原因をしっかりと探りながら、他の病気や網膜の病気などの有無を調べて、視力低下の原因が白内障によるものであるかそうでないかを診断します。
Q.白内障と診断された場合、どうすればよいでしょうか?
白内障と診断された場合、次に行う検査として散瞳検査を行います。散瞳とは瞳孔(黒目)を拡げる目薬(散瞳薬)を点眼して、瞳孔を大きく拡げて、眼底を見やすくすることで、白内障の手術が必要かどうかの判断をします。手術の場合は、全身の状態の確認をさせていただく必要がありますので、かかりつけ医の先生と連絡を取り合いながら、手術に対して問題ないかの確認をします。そして、その上で問題がないようであれば手術をします。手術は、日帰り手術、1泊程度の入院と選択が可能です。
ただし最終的には、白内障の手術をするかしないかは、患者さんの意向を十分に尊重しながら、治療を進めていきます。視力が低下して、日常生活に支障をきたすようであれば、手術が必要になりますが、視力が良好でご本人も不自由がないのであれば手術を受ける必要はありません。
Q.白内障の手術をする場合、治療法と術後に関して教えてください。
手術での治療の場合、濁った水晶体を取り除き、代わりに新しい人工のレンズ(眼内レンズ)を入れることで視力が回復します。眼内レンズは、単焦点レンズが一般的ですが、老眼を治したい場合は、多焦点眼内レンズ(保険診療適用外)もあります。きわめて安全な手術で、短時間で終了します。術後は1~2時間ほど安静にしていただき、感染症予防のため点眼薬を使用します。日帰り手術を選ばれた方は、問題がないことを確認したうえでお帰り頂き、入院された方は翌日の朝診察後退院となります。
目薬は、術後から患者さんご自身で点眼を開始していただきます。概ね2~3か月ほど医師の指示通り点眼を続けてください。術後の診察を定期的に行って、患者さんと相談の上、術後1ヶ月~3カ月の間に、眼鏡が必要な方には眼鏡を合わせ直して調整します。手術翌日の診察後は眼帯をとり、保護用の眼鏡を約1週間ほど装用していただきます。多くの方は、手術した翌日から良い視力が得られることを実感していただけると思います。
回答:副院長 馬場 哲也先生
Q.緑内障の自覚症状はどのようなものがありますか?
慢性の緑内障についてお話します。緑内障は、目の成人病とも呼ばれ、40歳以上の約20人に1人が緑内障と言われており、国内の中途失明原因の1位とされています。眼圧の上昇によって眼底にある網膜、視神経が弱っていく進行性の病気です。緑内障の初期症状としては「視野が狭くなる」「視野の一部が欠ける」などがありますが、多くの場合、初期から中期は、自覚症状が出ないのが特徴です。本人も気がつかずに進行してしまうことがほとんどです。進行すると視力低下が生じ、一度欠けてしまった視野は元には戻らないため、早期発見と治療が大切です。40歳を過ぎた方は自覚症状がなくても、緑内障検査を受けることを推奨します。
Q.緑内障と診断されたら、どのように治療を進めるのですか?
緑内障の悪化する因子は眼圧です。その眼圧を下げる治療が第一になります。眼圧を下げるための治療方法としては、薬物療法、レーザー療法、手術の3種類が挙げられます。治療のためには、その方ごとの正常眼圧まで眼圧を下げることが必要です。
まずは治療前の眼圧を調べて、治療せずに経過観察をします。眼圧は血圧と同様に、患者さんごとに異なりますので、その方の正常眼圧を予想します。目標値が決まってはじめて、点眼薬による薬物療法で眼圧を下げる治療を行います。なかには、目薬が合わない方、薬が効きにくい方などは、薬物療法と組み合わせながらレーザー治療を併用していきます。
それでも視野が進行する場合は、手術により強制的に眼圧を下げる治療を行います。入院期間は手術により変わりますが、原則4泊5日の入院で行っています。